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2021-08-30 (Mon) 10:02

『移住してもうすぐ1年になります。』

北海道中頓別町ワイン醸造用ブドウ栽培担当齊藤です。
農業経験はなく、北海道での暮らしも30年ぶりで何もかも手探りで進めてきました が、早いものでもうすぐ1年が経ちます。今回、地域おこし協力隊のブログを執筆するにあたり良い機会なのでこの1年を振り返ってみたいと思います。

51歳からの転職で地元に恩返ししつつ、関係者を喜ばせ、顧客から感謝される仕事がないかと検索をしていた際、この中頓別でのワイン用ブドウ栽培担当の募集が目に止まりました。大抵は農業経験を問われるので、これも難しいんだろうなと要綱を確認すると農業経験不問との事なので、即応募しました。

トントン拍子に選考が進み昨年9月末には千葉県佐倉市から札幌に飛び、その足で江別にて中古車を購入し、その車で中頓別に入りました。既にコロナで世の中が騒がしかったので自費でPCR検査をし、医師からの陰性結果を携えてきました。

ワイン用ブドウ実証栽培圃場は2か所合わせて約10aの広さで、約70本のブドウがあり、幾つかは可愛い実を付けていました。圃場での最初の仕事は草刈りで収穫イベントに備えました。H29から始まった試験栽培なので4年目の収穫を共に経験できたのは幸運でした。

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11月になり池田町にて剪定教室が行われたので赴き、中頓別でもブドウの葉が落ちてから2週間程経ったタイミングで教室で習ったとおりに思い切って枝を短めに剪定して翌年の成長を祈ります。

12月からはあっという間に根雪になり想像以上の厳しい冬を迎えました。冬の間はブドウ栽培はお休みですが、その間6次産業化関連の牛乳製造助手、ライドシェアドライバーへの登録と雪道での長距離運転。将来の自給自足生活に向けた狩猟免許取得と銃登録等を同時進行しているうちに春になります。

3月末から雪解けを待ち遠しく圃場に通い積雪量を測定しました。2m程あった雪も溶け始めると1日で10㎝以上雪解けが進む中圃場の準備を進めていきます。電牧、鳥獣よけネット、ブドウの主柱、中柱、そこにめぐらす針金張りなど役場の皆さん、普及センターさん、協力農家さんと力を合わせて取組み4月を迎えます。

雪解けのスピードは想像以上に早く、夜間の防寒の為ブドウの木に雪を被せても翌日にはかなり枝が露出する事がありました。電牧、鳥獣ネットが張り終える前に畑にシカが来て露出した苗を食いちぎってしまいかなりショックを受けた事もありました。幸い数本の被害でブドウはその後何事もなかったかのように成長してその生命力に驚かされもしました。

5月末に芽吹くとそこからはものすごい速さで成長し、6月には花が咲きすぐに可愛い緑の実を結び7月にはどんどん大きく育ち、やがて重みで上を向いて生えていた実が垂れ下がって8月紫色に色づいてきます。

3月から3回程町民向け説明会、圃場見学会などを催してきました。そこで成長を確認いただいた町民の方もいますが、大部分はご存じないと思うので本日のブドウの画像をシェアさせていただきます。

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春先はシカに嚙み切られ、遅霜では新芽の生存が危ぶまれ、厳しかった今年の酷暑の中でも土中からしっかり水、養分を吸い上げ今その多くは実をたわわに着けています。

昨年ブドウを栽培しようと意気込んでやって来た私ですが、山ブドウを親に持つわが町のブドウは誠に逞しく、殆ど自力で命を繋ぐべく成長しており、栽培過程で私が介入する余地があまり多くないことに気付かされます。特にこの夏の酷暑を退けた強さに対して畏敬の念を持つ程です。

古よりこの北の大地に生息してきた山ブドウには命を繋ぐ真の英知と力が宿っています。栽培を通して今後もブドウの魅力を学び皆様とも分かち合いたいです。
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2021-08-30

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