Top Page › まちのこと › 山や野を育てる仕事~養蜂家・吉岡伸次さんに聞く(下)
2017-11-27 (Mon) 16:07

山や野を育てる仕事~養蜂家・吉岡伸次さんに聞く(下)

篠田です。
前の記事からの引き続き養蜂のお話です。

からの続き)
蜂箱撤収のお手伝いをしに、10月下旬の朝、蜂箱が並べられている作業場にお邪魔しました。
この日は、今シーズン初めて氷点下の朝でした。道路もところどころ凍っていました。

待ち合わせの時間の朝7時に行くと、
もうすでに、作業の方がいらっしゃいました。
RIMG2045.jpg
作業に来た皆さんと談笑する吉岡さん(左から3人目)

この日の作業に訪れていたのは、
私と吉岡さんを除いて、
町内から3名。
町外から3名。
参加されていました。

RIMG2053.jpg 
箱からはぐれた蜂が凍っています。それだけ寒い朝だったということです。

参加されていた町内の方々からお話をうかがったところ、
「10年近く養蜂のお手伝いに携わっている」とおっしゃっていました。
以前は、中頓別在住の養蜂家さんの呼びかけで採蜜に関する作業に関わっていたところから、
吉岡さんと知り合い、吉岡さんの作業のお手伝いをするようになったとのこと。
蜂箱の受入れから、採蜜作業、蜂箱の撤収において、毎年作業に参加されているとのことです。

RIMG2042.jpg
蜂箱は大小さまざまな箱があります。
これらはすべて吉岡さんが先代から引き継いで、
自分で養蜂を始めたときに材料を手に入れてすべて手作りなのだとのこと。
板材や木材などを調達し、ところどころ補修の跡もありました。

中頓別でのはちみつの採取は9月中にはほぼ終わるそうです。
そのあと、蜂箱を撤収する準備を始めるというのですが…。
蜜を採り終えた蜂は、どうしているのかと吉岡さんに尋ねると、
「蜂に餌をあたえておとなしくさせてるよ」
とおっしゃっていました。
…蜂の餌?とは何か。
それは何かとさらに尋ねると、「砂糖」
砂糖をいっぱい体の中に蓄えさせて、
箱の中でおとなしくさせているということなんですね。

RIMG2054.jpg
おとなしくさせている蜂がしっかり入った蜂箱は重かったです。

蜂箱の中にいる蜂の量を振り分けておいて、
次の春に奈良県の山ですぐに蜜が取れる準備も合わせて行っているそうです。
それで、春になると砂糖を蓄えている蜂から、砂糖を取り出し、おなかをすかせて蜜を採りに行かせるとのこと。
このタイミングや蜂箱の向きを誤ると、蜂は蜜を吸わずに餓死してしまうとのこと。
それだけ蜂というのは、繊細な生き物だということがわかります。
蜜源の多い中頓別で若い蜂に蜜を採ることを覚えさせて、成蜂の状態で春に奈良県の山で蜜を採る。
吉岡さんの養蜂におけるサイクルとのこと。
すなわち、蜂を育てるために中頓別で蜜を採っているとのこと。


RIMG2060.jpg
蓋が無い蜂箱がありました。
この1枚1枚に蜂が蜜を植え付けていくんですね

奈良県ではサクラの木などから蜜を採ります。
蜂が、野や山の中を動き回ることでも、花の受粉が行われます。
受粉が行われた花は、実を付け、種ができます。
種がまた土の中は入り、成長して、新しい花が咲きます。
いわば、蜂は、野や山を育てるための要素の一つとなっています。
養蜂という仕事は、蜂を育てると同時に野や山を育てる仕事ともいえる
と吉岡さんはおっしゃっていました。

RIMG2065.jpg
一通りの作業が終わり、お手伝いに来た町民の方とお話する吉岡さん(左)。

町外から来ていた方は、
季節養蜂で和歌山県や鹿児島県で近隣の町に入っている人たちでした。
若い人も多く、養蜂家さんに尋ねてみると、やはり家業を継いで養蜂をやっている人たちでした。
鹿児島県から来た方は、次のシーズンからは北海道に移住をして蜜を採るとのことです。
冬の北海道を楽しみたいとも言っていました。

吉岡さんは15年目のシーズンを終えました。
「また来年もやってきます。その時には是非、まちづくりのお手伝いもさせていただきたい」と、おっしゃっていました。
吉岡さんありがとうございました。

(取材あとがき)
今回の作業に行ったとき、まだ私は「地域おこし協力隊で取材も兼ねてきている」と身分を明せることができていない状況でした。
作業が終わって取材をしてい時に皆さんから、「どこかの養蜂家さんかと思った」と言われました。
私、養蜂家にあっていますかね(笑)。

篠田
スポンサーサイト



2017-12-06

Comments







非公開コメント